今回は減塩でも料理を美味しく作れる5つのポイントを紹介します。
私は栄養士免許を持っていて、クックパッドでもオリジナルの減塩レシピを発信しています。
おかげさまでクックパッドでは「美味しい」のお声もたくさんいただけるようになりました。
実際に私が考えたレシピも踏まえてポイントを解説していきます。
美味しく減塩する5つのポイント
それぞれのポイントについて具体的にお話しします。
酸味を取り入れる
減塩の基本となるのが「酸味」の活用です。
酸味は普段の食事にも取り入れやすく、上手に活用することが減塩の第一歩になります。
さらにお酢には血圧を下げる効果も期待できるため、特に高血圧の方にもおすすめの調味料です。
私も酸味を積極的に活用し、減塩レシピを作り出しています。
なるべく新鮮な食材・旬のものを使うことで、素材の味も減塩の味方になります。
中には酸っぱいのが苦手…という方もいると思います。
そんな人におすすめな酸味の使い方が、「お肉の下味として使うこと」です。
私の減塩レシピでもよく使っている技ですが、炒め物などの時に肉の下味に醤油や酒を使うのではなく代わりに「お酢」を使います。
酸味は加熱の途中でほとんど飛ぶので気になりません。
お酢はお肉をしっとりさせる効果やお肉の旨味を引き出す効果だけでなく、後につける調味料も濃く感じさせてくれます。
減塩のお肉レシピには必ずこの技を使っています。(防腐効果も高まるので、作り置きにもおすすめの技です。)
酸味に抵抗を感じる方はぜひこのレシピから試してみてくださいね。
香りを足す
食べ物の味は、香りが加わると強く感じやすくなるといわれています。
鶏むね肉など淡白な食材は香りの主張が弱いため、そのまま食べると物足りなさを感じてしまいますが…。
カレー粉やにんにくなどを加えるだけで、鶏の旨味が引き立ち、薄味でも物足りなさを感じにくくなります。
香りは食材を足すことで付け加えられるだけでなく、調理でも足すことができます。
その代表的なのが「焼き目」です。
パンが焼ける時の香りや照り焼きの香りなど、香ばしい香りを嗅ぐと食欲をそそりますよね。
焼き目の香ばしさは旨味のような役割を果たし、味に深みを与えてくれます。
ただし真っ黒になって苦味を伴うような焦げは、大量に食べるとがんの原因にもなりますので、美味しそう!と感じる程度にとどめてください。
旨味・コクを足す
日本ならではのだしの文化。「だし・旨味」は減塩したいときの最強の味方。
また油脂や乳製品のコクは味覚の満足度をアップさせてくれるため、適量を料理に加えると、減塩でも物足りなく感じないようになります。
※ただし、油脂のとりすぎはカロリー過多になったり、生活習慣病の原因になったりする場合があるため、適量に抑えることが大切です
顆粒タイプの和風ダシや鶏がらスープなどは塩分の高いものも多いので、本当は昆布や鰹節から出汁をとることが理想的ですが、適度に利用すれば減塩料理にも一役買ってくれます。
また、旨味の豊富な調味料として「めんつゆ」があります。
だしが入っている分、余計な味付けを必要としないためとても便利ですが、多用すると味が単調になりがちで料理の満足度が下がるため、隠し味程度に使うのがおすすめです。
トマトが原料のケチャップ、醤油や味噌などの発酵食品も旨味の豊富な調味料なので、適量使うと料理に深みを与えてくれます。
だしそのものを利用するだけでなく、旨味の強い食材を使うこともポイントです。
旨味成分は組み合わせによってさらなる相乗効果を生み出し、単体で使うよりもお互いの食材の旨味を強く感じられるようになります。
例えば味噌汁やポトフなどのスープ類は具だくさんにすることで旨味が増し、汁を少なめにしても満足感があるので、余計な塩分を取らずに済みます。
栄養バランスの良いお鍋もおすすめです。
次にコクをアップさせてくれる食材をご紹介します。
これらの食材は、適量を料理に取り入れることで、食事の満足度が格段にアップします。
ノンオイル調理にすると、コクを感じない分を塩分で補おうとしてしまうため、濃い味付けでないと満足できなくなってしまいます。
反対に油脂を上手に活用すれば、減塩でも美味しい料理を作ることが出来ます。
表面に味をつける
味が染みている料理は美味しいですが、その分塩分を取りすぎてしまいます。
それを避けるためにも、味を染み込ませるのではなく表面に味を絡めるほうがダイレクトに調味料の味を感じられます。
またとろみをつけると、舌にとどまる時間が長くなるため、味を強く感じます。
大根おろしや野菜のすりおろしを加えてタレに食べごたえを出すのもポイントです。
つけだれを添える料理にすれば、自分で加減しながら食べられるので、塩分のとりすぎを防ぐことができます。
切り方を工夫する
「塩分の多い加工食品は控える」という文をよく見かけますが、控えるというよりは活用するほうが私はおすすめです。
ベーコンやウインナーなどの加工食品は、好きな人からすれば「食べるのを控える」というのはとても辛いものです。
ベーコンやウインナーは塩分を感じやすいよう細かめに切ることで、炒めたり煮込みに使ったりするときにたっぷり旨味が出ます。
そのおかげで、余計な味付けを控えることができます。
特にウインナーなどは中身にしっかり味付けがされているため、丸ごと食べるより切ったほうが先に肉の脂や旨味を感じることができ、味付けがなくても十分「美味しい!」と感じられます。
野菜に関しても、皮に包まれている分、中に野菜本来の甘みや旨味が詰まっているため、細かく切ったほうが煮込んだときにもエキスが出やすくなり、美味しいと感じやすくなります。
豆腐やこんにゃくも、綺麗に切るより手やスプーンでちぎったほうが味が絡みやすくなっておすすめです。
見栄えを左右されない料理に関してはぜひ「デコボコ感」と「細かめに切ること」を意識してみてくださいね。
減塩にもっと力を入れたいとき
ここからは、もっと減塩に力を入れたい方におすすめの減塩に役立つポイントまとめです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
料理は一番美味しいと感じる温度、適温で食べる。
温かい料理は温かいうち、冷たい料理は冷たいうちに食べるほうが料理の満足度が上がります。
温かいものより冷たいもののほうが塩味を感じにくくなってしまうため、できれば温かい料理を多めに用意するほうがおすすめです。
カリウム、食物繊維を含む食材を積極的にとる
カリウムには余分な塩分を体から排出してくれる効果があります。
また、食物繊維も体の要らないものを排出してくれるため、食事に取り入れることで減塩を助けてくれます。
濃い色に仕上げる
実は、視覚が美味しさの80%以上を占めるといわれるほど重要な要因の一つです。
醤油であれば薄口醤油より濃口醤油を、お酢であれば穀物酢より黒酢を使うことで、見た目からも物足りなさをカバーできます。
味にアクセントをつける
薄味の料理を何品も作るより、味のしっかりしたものを一品作り、あとはごく薄味にするほうが満足しやすくなります。
砂糖や醤油など同じ調味料ばかりで献立を仕上げるのではなく、味付けにも変化を加えてメリハリを出すことで、塩分が控えめでも物足りなさを感じにくくなりますよ。
DASH食
Dietary Approaches to Stop Hypertension = 高血圧を止める食事法
アメリカで研究されたメニューで、この食事と通常の食事を一定期間食べ続けた結果を比べると、最大で収縮期血圧が10mmHg下がったという研究結果の報告もあります。
以下のことを意識すれば、高血圧の改善が期待されるというものです。
終わりに
減塩で最も大切なことは「無理しないこと」。
減塩しなきゃ!と思って、あれもこれも減塩タイプにしたり、極端に味付けをしなかったり、好きな加工食品を食べるのを我慢したり…
これではいつか減塩が嫌になって、むしろ塩分の高いものを食べたくなってしまいます。
そして食べた時にはその美味しさが忘れられず、減塩食に戻ることが苦痛に感じてしまうことも。
減塩は無理せず少しずつ慣れていくことが、ストレスを感じずに減塩を続ける秘訣です。