食事を制限しているのに痩せない、むしろ体重が増えている…と感じている人は、もしかすると栄養不足が原因かもしれません。
栄養が不足すると、体の代謝が下がって脂肪が燃えにくくなったり、体が危機を感じて溜めやすい体に変化してしまいます。
無理なく健康的に痩せるためには、足りない栄養素を補う必要があります。
今回は不足している栄養素別に4つのタイプに分けて解決方法をご紹介します。
「自分はどれが不足しているのかな?」と当てはまるものを探し、その解決方法をぜひ実践してみてください。
「食物繊維・ビタミン・ミネラル」不足タイプ
このような傾向のある人は食物繊維・ビタミン・ミネラルが足りていない可能性があります。
「お弁当やパスタに野菜やきのこが少し入ってる」程度では食べていることにはなりません。
また同じおかずばかりだと、摂取している栄養素に偏りが生じ、栄養バランスが乱れている可能性があります。
「これなら野菜がたっぷりとれる」というものを毎食一品用意できていますか?
不足すると痩せない理由
食物繊維が不足すると、便の材料が足りなくなり、排便の機能が落ちて便秘がちになります。
便が腸の中に溜まってしまうと、ぽっこりおなかや肌荒れ・口臭の原因にもなり、体重も落ちません。
また、ビタミン・ミネラルが不足すると、糖や脂質の代謝が下がって脂肪がつきやすく、しかもその脂肪が落ちにくくなります。
解決方法:野菜・きのこ・海藻を食べる
「野菜・きのこ・海藻」のどれかを毎食必ず取り入れるようにしてください。
サラダや味噌汁・煮物などの和惣菜がおすすめですが、野菜やきのこ・海藻のとれるものであれば基本的にどのようなメニューでも構いません。
ただ、炭水化物が多くカロリーがやや高い野菜もあるので、食べ過ぎには注意が必要です。
もう一つ注意したいのは、「野菜ジュース」だけで済まさないことです。
なぜ野菜ジュースだけだとダメなのかというと…
野菜がもつ食物繊維やビタミン類は、野菜ジュースにする過程で取り除かれたり、一部損失してしまっている可能性があるからです。
また、噛むという動作をしないために「食べた」という感覚がなく、満腹感も得られないので、他のものを食べ過ぎる危険もあります。
どうしても利用しなければならない場合は、果物汁の入っていない野菜汁のみのジュースを選び、可能であれば「食物繊維」入りを選ぶようにしてください。
果物汁が半分近く使われているものは飲みやすくなっていますが、その分糖質も高くて太りやすいのでおすすめしません。
「タンパク質」不足タイプ
このような人はタンパク質が不足している可能性があります。
豆腐にもタンパク質は含まれていますが、豆腐のような植物性のタンパク質は肉や魚の動物性に比べて筋肉に使われにくいのが難点です。
痩せることを目的とすると、効率の良いタンパク質ではありません。
(ただ大豆にはその他の栄養素も含まれているため、積極的に食べることには賛成です)
サラダに少し混ざっている程度、おにぎりの具に入っている程度では全く足りません。
しっかり「メインのおかず」としてお肉や魚を食べていますか?
不足すると痩せない理由
主に体の脂肪を燃やしてくれるのは筋肉で、この筋肉が働くために必要なのがタンパク質です。
つまり、タンパク質が不足すると筋肉の栄養が足りず、筋肉の働きが悪くなって痩せにくくなってしまいます。
また、食事をとると人間の体は熱を作り出して代謝を上げます。
これは食事誘発性熱産生(DIT)というもので、「食事をとった後、安静にしていても代謝の量が増えること」をいいます。
この熱を最も多く作り出してくれる栄養素が「タンパク質」です。
熱産生が少ないと、代謝が上がらず脂肪を燃焼しづらくなります。
解決方法:動物性のタンパク質をとる
痩せやすい体を手に入れるためには、ヘルシーな豆腐だけでなく、「肉・魚・卵」もしっかりとりましょう。
極端に食べ過ぎなければ、肉や魚を食べただけで太ることはありません。
特におすすめの食材は
- 鶏むね肉(皮なしがおすすめ)やささみ
- 牛や豚のもも肉・ヒレ肉
- 魚介類全般(たらこやいくらなどの魚卵は除く)
その中でも魚は毎日とりたいタンパク源。
油の質がとても良く、ダイエットを助けてくれます。
(詳しい油の話は、次の見出しで解説しています。)
さらに、ダイエット効果を上げるのであれば、味付けに砂糖を使わないことです。
市販のドレッシングなどにも砂糖を多く使われているため、市販のドレッシングを多用する場合は、かけ過ぎに注意が必要です。
「脂質」不足タイプ
「油=太る」のイメージが強い人は、ついノンオイルドレッシングや低脂肪の食材ばかりを選びがちです。
油を使う炒め物や揚げ物を避け、ヘルシーな蒸し料理ばかりで極端に油の摂取を制限しまう傾向にあります。
油の摂取を極端にセーブしていませんか?
不足すると痩せない理由
脂質には、暑さや寒さから体を守ったり、ホルモンを作ったりする役割があります。
食欲のコントロールにはホルモンが関係しており、このホルモンが足りなくなってしまうと、食欲をコントロールできなくなり、過食に走ってしまう可能性が高まります。
また、脂質不足になると寒さに弱くなって代謝も落ち、脂肪が燃えず痩せにくい体になってしまいます。
解決方法:良質な油をとる
体にとって良い働きをする油、つまり不飽和脂肪酸を多く含む油を食事に取り入れます。
不飽和脂肪酸には、血中のコレステロールや脂肪を低下させる働きがあります。
不飽和脂肪酸をとることで、脂肪をためにくい体になるだけでなく、肌に潤いを与えて美容効果も高まります。
食欲も安定し、油の味で満足感も生まれ、食べ過ぎ予防にもつながります。
例えば
- オリーブオイルやごま油で炒め物を作る
- サバなどの青魚を定期的に食べる(缶詰でもOK)
- サラダにアマニ油をかける
- おやつにくるみを食べる
など、少し意識的に食生活に取り入れてみてください。
「炭水化物」不足タイプ
手っ取り早く痩せたいと考えている人はつい炭水化物を抜きがちに。
炭水化物を抜いたことで、イライラや集中力の低下を感じていませんか?
不足すると痩せない理由
炭水化物を抜いてしまうと脳の栄養であるブドウ糖が足りなくなり、脳がブドウ糖を欲して食欲が強くなってしまいます。
食欲との戦いがストレスになり、結果食べ過ぎを招いてしまうんです。
筋肉にもいくらか糖が貯蔵されており、足りない部分を筋肉から補おうとすることで筋肉量が減り、体全体の代謝が下がって痩せにくくなります。
解決方法:最低1食は炭水化物をとる
まず最低1食は炭水化物をとるようにしてください。
理想は3食とも炭水化物をとることですが、どうしても食べることに抵抗を感じやすいので、無理をせず1食から始めます。
私のおすすめは昼食にとることです。
脂肪の合成に関わるタンパク質「BMAL1(ビーマルワン)」の数値は午前2時が最も高く、そこからどんどん低くなって、午後2時で最低になります。
つまり、朝食よりも昼食の方が食事からの脂肪を溜め込みにくいということです。
さらに、昼食に炭水化物を食べておくことで、空腹感からくる夕食のどか食い防止にもつながります。
おすすめの炭水化物は「お米」です。
玄米や雑穀米の方がダイエット向きですが、苦手であれば白米でも構いません。
小麦粉から作られるパンや麺類がおすすめでない理由は、小麦には食欲を増進させる作用が認められているため、その依存性から食べ過ぎになる危険があります。
※空腹の時にいきなり炭水化物をとると、血糖値が急上昇して脂肪に溜め込まれやすくなるので、食物繊維またはタンパク質を含む食材を先に食べてから炭水化物をとるようにしてください。
【体験談】栄養不足は過食になりかねない
私が病的なダイエットをしていた学生時代は、おそらく一般女性の半量以下の食事量でした。
栄養士の勉強をしていたということもあって栄養バランスには気をつけていましたが、結局全ての栄養素が必要量の半分以下しか取れていないので本末転倒。
しかも、毎日が空腹との戦いでかなりのストレスになっていました。
社会人になって環境が変化し、生活リズムが変わったことで今度は過食になってしまい、自分で止めることができずとても辛かった経験があります。
「本当は食べたい」と思っていないのに、なぜか食べてしまう…食べないと精神が落ち着かない…そんな状況に陥るんです。
そうならないためにも、「やつれる」ダイエットはやめ、必要な栄養素はちゃんと摂ってください。
今回の記事が少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。